奥山先生は2005年に尾道大学美術学科の教授として赴任し、2012年3月を以て大学を退任することとなりました。大学近隣の自然豊かな尾道市久山田町に居を構え、犬とともに大学と自宅とを往復し、後進の指導にあたりながら、創作活動に勤しむ日日でした。先生の独自の自然観、生命観はふだんの何気ない会話の中にもふとその片鱗を現します。久山田に群生するシダ植物と出会った感動、大学裏山の神社の持つエネルギー、犬のことば、近所での身近な出来事から壮大な宇宙論まで話は広がっていきます。奥山先生は20代から欧州・中近東・南北米など世界各地を旅してきました。ある旅で、南米の標高数千メートルの高地砂漠の真ん中でひとり佇んでいたとき、自分の命と地球の命がクロスする感覚を強く感じたといいます。その時の外界との融合感覚が画家・奥山民枝の世界観の原点なのかもしれません。巨視的でありながら、同時に微視的でもある奥山先生の絵画は常に内部から発光するような柔らかい光を孕んでいます。その光は人間も動物も植物も大地も天体も等しく包み込み、見るものの感覚に浸透していきます。
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